ブラケット撮影してないRAWセットから、露出合成HDR(ExposureFusion)する方法
たまにはTipsも。
屋外のパノラマ撮影では、人だけでなく植物や自動車など、どうしても制御しきれないものが写ってしまいますよね。そんな状況下でパノラマ撮影したいんだけど、直射日光が当たるので、やっぱり露出合成HDR(ExposureFusion)したいと思うのが、パノラマ屋の悲しい性です。
HDR画像を作成するためにはブラケット撮影しますが、幾ら直射日光下の高速シャッタースピードでも動体の移動は高速で、合成時にどうしてもブレてしまいます。
そんな時に「1枚のRAWデータを強制的にブラケット現像して、それらを露出合成すればイイんちゃうん?」って思っていたんですが、そうは簡単にいきませんでした。
何故か?それはExifデータのカメラ/レンズ情報を書き換えられる方法が、Macにはほぼ存在しないからです(Winなら専用ソフトが幾つかあるんですけどね)。
HDR合成ソフトの殆どは1組の合成写真群からExif情報の露出データの差を読み取って合成しますが、露出補正してRAW現像した写真ではExifの露出情報(シャッタースピード/F値)そのものは編集されて出力されないため、HDR合成ソフトが不適切なブラケットセットだと認識して合成に至りません。
従って、上記のような条件では、Exif情報の編集が必要不可欠なのです。
そんなことを考えながら、自分のアタマだけではどうにもならず、いろんな方に相談に乗ってもらったんですが、こんな状況に陥る方も少ないらしく、なかなか相手にしてもらえなかったりしました。そうこうしているウチに数年が経ち、アタマの片隅では「こんな時に、コレが使えたらなぁ」って思ってはいたんですが、なかなか本気出して手を出せずに居たんですが、先日仕事で必要に迫られて、改めてチャレンジしたら、実は"灯台下暗し"的にカンタンだったので、ご紹介しておこうと思います。
必要なのは、
- RAW現像ソフト
- HDR(ExposureFusion)合成が出来るパノラマ合成ソフト
(1)に関しては、ボクはマカーなので「Aperture」を使ってます。もしかしたらiPhotoでも充分かもしれません。他にも、LightroomやSilkypixなどの露出補正が出来るRAW現像ソフトなら、なんでも良いです。更に言うと、バッチ処理が出来たら言うこと無しです。
(2)は、PanoTools系が便利ですね。"PTGuiPro最強説"はココでも威力を発揮します。ぜひ皆さんも使ってみて下さい。お金が惜しい人はhuginでも出来ます。AutopanoPro/Gigaも出来るような気がします...が、確証ありません。どなたかチャレンジしてみて下さい(ボクも後でやってみます)。
何をするかというと、
[ STEP 1 ] パノラマ合成用撮影した写真データ1セットを、RAW現像ソフトに読み込む
一応、ブラケット撮影はしておいた方が良いと思いますので、そのデータを全てRAW現像ソフトに放り込みます。

[ STEP 2 ] 適正露出のパノラマ合成用写真データ一式をひとまとめにし、同じ調整で色調補正し、現像する
ココでは「露出」以外のパラメーターを調整して下さい。後述の作業のキモになりますので。

[ STEP 3 ] [2]のデータセットの露出補正を行い、±2EV調整して、現像する
露出補正で振り幅いっぱいに明るく&暗くして、それぞれのデータセットを現像します。
各セットでフォルダを分けておくと良いと思いますよ。ボクは[2]は「0」というフォルダ、そしてこのステップで現像するデータを「-2」「+2」というフォルダに保存しました。

[ STEP 4 ] PTGuiProを起動してフォルダ[0]の中身をスティッチする
出力寸前までのプロセスを終えて、閉じておきます。
スティッチ方法は、このブログの過去の記事を参照して下さい。山盛り出て来ますから!
[ STEP 5 ] 他のフォルダの中身をそれぞれスティッチする際に[0]をテンプレートとして読み込み、3つのプロジェクトファイルをバッチ合成する
PTGuiProの新しいプロジェクトを作って、そこに「-2」フォルダの中身を読み込み、「0」のPTGuiプロジェクトファイルをテンプレートとして読み込みます。
「-2」フォルダの中身は写真が真っ黒、「+2」フォルダは真っ白のデータになり、どうやってスティッチしようかとなりますが、「0」は適正露出で撮影されたデータのため、比較的キレイにパノラマ合成できている(はず!)なので、このプロジェクトファイルをテンプレートして利用し、「-2」「+2」に読み込みます。最後に3つのプロジェクトファイルを一気にバッチ処理でパノラマ合成します。


[ STEP 6 ] 新しいPTGuiProのプロジェクトファイルに、「0」「-2」「+2」の各パノラマ画像を読み込む
新しくPTGuiのプロジェクトを作成し、先に合成した3つのパノラマ画像を読み込みます。
全く同じRAW画像から現像された写真群を使って、同じテンプレートで生成されたパノラマですので、コントロールポイントを打つこともなく、HDR合成することが出来るはずです。
編集モードを「Advanced」にし、手入力設定を可能にします。読み込み設定は、以下の通りです。自動で読み込まないので、手入力で行って下さい。

Lens Setting
- Lens type: Eqirectangular panorama
- Holizontal Field of View: 360
Panorama Setting
- Projection: Eqirectangular
- Field of view: 360x180°
[ STEP 7 ] 「Image Parameters」タブの「Exposure」の数値を手入力する
この状態で、「Image Parameters」タブの「Exposure」項目は全て同じ値になっていると思いますが、そこにカーソルを持って行きクリックするとIビームが出現し、いきなり数値入力が出来る状態に変わります...そうなんです、PTGuiは露出データの数値入力が可能だったんです。今更ながらに驚いてます。確かチュートリアル和訳をやった時にそんなことを言ってたような記憶があるなぁ、と思い出してやってみたらば"出来ちゃった"って感じ!(笑)。
但し、どのような数値を入力すれば良いか、分からなくなりますよね。そこで、RAW現像ソフトに戻って、ブラケット撮影したデータをまとめて読み込んだことを思い出して下さい。そのブラケット撮影したExifデータを見ると、ブラケット数値が分かるので、それを入力してあげれば良いのです。このサンプル場合、「-2」の方が1/2000、「+2」の方が1/125を入力しています。



[ STEP 8 ] 「Exposure / HDR」タブで、露出合成(Exposre Fusion)を実行し、数値を調整した後に、パノラマ出力する。
あとはいつものように露出合成して出力します。
こちらはボクの最近の基本数値。この数値を基準にして少しずつ変えていきます。

こういうプリセットデータを保存できるようにならないのが、今のPTGuiの面倒なところ。初期設定画面で全てのパラメーターを触れれば良いんですけどねぇ。
どうです?いかがですか?思いのほかカンタンに出来上がりました。
今までのワークフローがかなり"全自動"的な感じなので、手入力の工程が多い今回のフローは、ちょっと取っ付きにくい感も無きにしも非ずですが、高所ポール含む一脚撮影や手持ち撮影など、カメラブレが多くて通常のブラケット撮影データではHDR合成に支障を来すような場合には、代替手法として習得しておいても損は無いと思います。
ぜひチャレンジしてみて下さい。
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